2015秋:谷川岳 - 序章(という名の自分語り)
小学生の頃から、アスレチックを避けてきた。
鉄棒の逆上がりは出来なかったし、登り棒は落ちないようしがみつくので精一杯だった。
運動神経の壊滅的な僕にとって、アスレチックに登るなんて夢のまた夢だった。
登山という趣味を始めてから1年経った。何回か鎖場を経験はしたが、ヒヤリハットの連続だった。
丹沢・行者ヶ岳ではずり落ちかけ、金峰山の岩にはそもそも取り付けず(一緒に行った友人達は中腹まで登ってた)、大月・御前山の下りでは高度感に体が強張った。
地図に「鎖場」の文字を見ると、「本当に越えられるのか?引き返すハメになるんじゃないか?」と思ってしまう。「鎖場」の文字を見るのが憂鬱になりつつあった。
翌日が「バイトなし・天気良好」なある日のこと。
明日登山に行くことは決めたものの、ちょうどいい場所を見つけられずにいた。そんな時、サイクリングサークルの後輩から
「谷川岳・武尊岳・両神山のどれか行きません?」
という、神がかったお誘いが来る。
車を出せる人からの思ってもみないお誘いにテンションは沸騰。これ、絶対楽しいわ……!
明日行く場所は鎖場だらけであることを、今の僕はまだ知らない。 (続く)