世界穿孔日記

飽き性な新社会人の日記です。読書・サイクリング・デジタルガジェット・カメラ・文房具などに興味があります。

2014年:エクストリーム夏ツーリング|6日目 水上→日光

ついにこの日が来てしまいました。
4時半起床、外からは雨音が聞こえています・・・。
ボツン、ボツンと強めに屋根を打つ音です。
(この雨の中、獲得標高3000mか。嫌だな・・・。)
正直そう思いました。
が、そうは言ってられません。いつも通り、本を読みながら朝食を摂ります。
朝の読書はその日の調子を占う試金石です。
好きな展開があれば、一日中そのことをリフレインしながら、楽しい気分で走れます。
この日の展開は・・・ヒロインの死でした。
ちょっと!ただでさえ気分が沈んでるのに追い打ちかけないでよ笑

自転車ツーリング歴5年目の旅慣れた二人です。起床から一時間少しで出発の準備が整いました。
外にでると、ちょうど雨が止んだところでした。
幸先のいいスタートです。
写真の通り路面は濡れていますが、降っているよりは全然マシです。

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今日のコースは「水上温泉→一ノ倉沢→奥利根湖→坤六峠→金精峠→日光」という予定でした。
しかし天気が悪すぎるので、前回と同じように「一ノ倉沢」「奥利根湖」はカットすることにしました。
今回も一番行きたかった奥利根湖へ行けずに終わりますが、天気が原因では仕方がありません。

気温はちょっと肌寒い程度。
登り基調なので、すぐに汗が乾き気持ちいいです。少し下りが不安にはなりますが、それはそれ、これはこれ。
奥利根方面は豪雪地帯なので、あちこちにスキー場があります。
スノーシェードや雪よけのトンネルのある道が続きます。

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出発から一時間後。
僕らはなぜか土合駅にいました。
なんと、我々はルートミスで一ノ倉沢ルートに入ってしまったのです。
毒を食らわば皿まで。
そのまま一ノ倉沢へ突入することにしました。

6:30、一ノ倉沢へ到着しました。

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最後の方は車進入禁止になっており、ここまで無料で行けるのは自転車か徒歩のみです。
ここは映画「クライマーズハイ」の聖地です。
これのファンであるもなはテンションMAXでした(笑)
原作小説が好きな僕も嬉しかったのですが、これからの天気を思うと憂鬱な気持ちでした。

というのも、僕には寒い中峠を越え、体が動かなくなったトラウマがあるのです。
(※初めて行った時の釧路峠。登り切ったものの、寒すぎて写真を撮る余裕さえなかった。)

一ノ倉沢での撮影が終わったら湯檜曽駅まで下り、今度こそ坤六峠へと向かいます。

坤六峠さえ登れれば、あとは金精峠だけ。
坤六峠さえ終えれば、峠一つだけならば、雨が降ってても惰性でクリアできる。
そう自分に言い聞かせるのでした。

8:00、とうとう奥利根湖への分岐点に到着です。

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左に行けば奥利根湖、右に行けば坤六峠です。
空は依然としてどんよりしており、いつ雨が降り始めてもおかしくない状態です。
泣く泣く、タイヤを右へ向けます。

こうなったら、こうなったら徹底的に写真を撮ることに専念し楽しんでやる!
そう開き直り、本来行く予定ではなかった奈良俣ダムに寄りました。

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ここで僕は、「ああ、奥利根湖行きたかったなぁ」みたいなことを言ったんだと思います。
(↑半ば無意識なので記憶にはない笑)
もなが「奥利根湖、行きたいんなら俺はいいよ?」と、悪魔的な提案をしてくれました。

行きたいのは山々だけど冷静になろう。
このまま突っ込んで、体力切れで雨の中立ち往生することだけは避けなければならない。
なんたって、今回のコースには回避ルートがないのだから。

こういう時は客観的なデータを見るのが一番です。
雨雲アプリを立ち上げ雲の遷移を見ます。
「あれ・・・しばらく雨来なさそう・・・!?」
雨雲と雨雲の間の切れ間に、僕らの走る道は入っていました。
これなら、あと1時間は雨に降られなさそうです。

なんとか・・・なるかもしれない・・・!
これで降られたらもう覚悟を決めよう、そう思い決断しました。
行かずに後悔より、行ってからの後悔。
6:40、奥利根湖に行くことを決定。

道を引き返し、先ほどの分岐点より奥利根湖へ向かいます。
奥利根湖への道はアップダウンを繰り返しつつ、徐々に登っていく道です。
まだまだ序盤。ペースを上げすぎずのんびりと走っていきます。

奥利根湖へ行けると思うと、やはり嬉しさがこみ上げてきます。
楽しい気分になって、もなをローアングルから撮影したりしして遊んでいました(笑)

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9:15、ついに奥多摩湖到着!!!

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ここだけはどうしても一番乗りしたくて、最後は大人げなく踏みました。
6月の旅では行けなかった奥利根湖に、2ヶ月の時を経て到達!

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これこそが、日本最大の流域面積を誇る利根川の源泉。
僕らが普段飲んでいる水道水もここから来ているのです。
感無量!
こんな自然しかない場所から東京まで流れて来ているとは・・・!

奥利根湖には矢木沢ダムというダムがあります。

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水力発電をしているらしく、変電所より電線が伸びている様が見えました。
電力系の研究をしてるもなは興奮していましたが、僕にはよく分かりませんでした。

変電所から・・・

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雲間の高圧送電線へ!

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ダムに行くたびにその巨大さには驚かされます。
35mmレンズでは収まりきってないですね(笑)

この写真の青い手すりですが、

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普通に1mくらいはあります。

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巨大な人工物と大自然とのミスマッチ、これもまたタマランですね!

写真を撮っていると、雨が降り始めました。
それなりに強くなってきましたが、雨雲アプリによれば通り雨。

奈良俣ダム資料館に寄って雨が止むのを待ちます。

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クマの剥製とか

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利根川水流系の模型などがありました。

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そして忘れては行けないのがダムカード
次いつ来れるか分からないし、ただで貰えるのなら貰っておきましょう。

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奈良俣ダムに来た証ゲット!

さて、やりたいことは全部やりました。
雨も止んでいます。
10:15、写真を撮りまくった1時間の滞在でしたが、今度こそ坤六峠へ向かいます。

11時、とうとう雨が本降りになりました。
近くのスノーシェードに避難します。

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例によってアプリを見ますが、これはもう回避不可です。
待っても待っても止む可能性はない。
こうなれば、雨の中突っ込むしかありません。

ここから頂上までは10km以上あります。
しかし、この峠は初見ではありません。
ましてや、6月のように前日脚攣ったわけではないし、これくらいならば大丈夫。
雨も"普通に降っている"程度。
去年の夏ツーリング(台風の中突っ切った)と比べれば全然大したことない。
そう考えると気が楽になってきました。

ここからは写真が全然残っていません。
いつもコンデジを入れたポーチをザックに引っ掛けているのですが、雨でポーチごとしまわざるを得なかったからです。
なのでここからは文章多めになります。

坤六峠自体はそこまできつい峠ではありません。
斜度は基本的に7%前後で、たまに10%がある程度です。
標高も1620mとほどほどな高さ。

念願の奥利根湖へ行った僕は、雨が降ってきてもテンションが下がりませんでした。
内心、「エクストリームな感じになってきた!楽しい!!!」とか思ってました(笑)
その結果、オーバーペースで走るという愚行を犯します。
もなに「よくそんなペースで登れるね・・・」と言われ、やっと気づきました。
だけど、その日はかなり体調がよく、ほとんど疲れを感じていなかったんですよね。
もなは疲れ気味のようです。
彼とは別れ、各自のペースで刻んでいくことにしました。

「前回来た時は死んでたな~」とか、「この車が来なくて静かな感じ、いいよね!」とか思いながら、楽しく登っていると山頂が見えてきました。

13:00、難なく坤六峠クリア!

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疲れも許容範囲内、これでダウンヒルしたらコンビニで昼休憩です。

一方で、もなは疲れきっていて口を開くのも辛そうでした。
これだと金精峠越えられるのかがちょっと不安です。
まぁ、そのことは下ってから考えればいいのです。
まずはダウンヒルをクリアせねば!
ゴアテックスを着こみ、お腹に洋服を詰め込み下ります。
薄着すぎるかな?とも思いましたが、体の芯まで冷えるほどではありませんでした。
防寒具としては、あと手袋・カーディガンがあります。
手袋は一回使うと濡れてしまうので、今は我慢し金精峠の下りまで寝かせておくことにしました。
依然として雨が降っているので、30kmくらいの安全運転です。

14:00、休憩ポイントであるデイリーヤマザキ尾瀬大橋店に到着しました。
5分遅れでもなも到着しました。
もなにしては遅れすぎてる。その理由は彼を一目見れば分かりました。
完全に死んでいる・・・!
雨と風に体温を奪われ、体の芯から冷え切ってしまったようです。
何を言えず、唇を紫にして震えている様子は昔の自分を思い出します。

昼を食べていると、徐々にもなが解凍されてきました。
どうやら、防寒が足りなかったがこれ以上の装備がない、ということらしいです。
結局彼は、雨合羽をコンビニで購入し事なきを得ていました。
雨を物理的にシャットダウンできるのは大きそうです。
蒸れそうだけど、そんなことを言ってる場合じゃないですしね。

金精峠に登るにあたり、彼のドリンクにBCAAがたくさん入ってるサプリメントを入れてあげます。(一つ200円。通称お守り)
心が折れそうなとき、完走できるか怪しいコースを走るとき、いつも使っているものです。

さぁ、あとは峠一つだけ!これさえ越えればあとは下るだけ!!!
14:45、金精峠へ向け出発!

コンビニを出ると、すぐに峠のふもとに入ります。
ここまで来れば急ぐ必要はありません。
僕が前に出て、脚を使わない7, 8キロペースで引いていきます。

ここに来て、今まで封印していたものを開放することにしました。
それは「音楽」です。
ペダルを漕ぐ、というのはとても単調な動作です。
そのため、風景が変わらないとどうしても飽きが飽きます。
そこで、五感に新鮮な刺激を与え、そっちに意識を向けてあげると飽きにくくなるのです。

特に自転車の場合、五感のうち、「聴覚」と「味覚」を使うのがお勧めです。
聴覚は音楽、味覚はチョコやドライフルーツなどです。
(ちなみに、じゃがりこを食べながら走ると平地が早くなるというのがもっぱらの噂です)
渋峠の時は、まさにこのドライフルーツで飽きをごまかしていました。

今回は、民族音楽の作業用BGMを流しながら走りました。
柔らかい笛の音に、そよ風吹く草原を走っているかのような錯覚を覚えます。(実際は雨ですが。現実逃避とも言います。)

登っているうちに、もなもやっと芯から暖まってきたようです。
音ゲー好きな彼は、猫又マスターの音楽を聞き元気を取り戻してきたようです。
やっと笑顔が戻ってきたので、僕もほっとしました。

天気は依然として雨です。
前を見てもくすんだ緑色と灰色しか見えません。
下を向き道路だけを見て、心は音楽の方へ向け淡々と漕ぎました。

気づいたら、頂上が近づいていました。
よくわからないダム湖を経て、17時ついに金精峠へ到着です!

 

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音楽のお陰で楽しく登れました。
もなもサプリメントが効いたらしく、だいぶ元気になっています。
体が冷える前に下りたいので、峠の茶屋へはよらずちゃちゃっと移動します。

そこから少し登ったとこに、金精トンネルがあります。
トンネルの中ならば雨も凌げるのです。
撮影しつつ、補給したりダウンヒルの装備を着込んだりします。

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これが今日最後のダウンヒルです。
出し惜しみせずに、ゴアテ上下・カーディガン・手袋を装備します。

ここから日光までは35km。
ダイレクトアタックするしかない!

次行く道は、急カーブが48箇所あることで有名ないろは坂です。
さすがに疲れてきて判断力も落ちています。
また、渋峠のように霧がかかっており、危なさに拍車がかかっています。
曲がるときは止まるくらいの気持ちで、ゆっくりと下ります。

いろは坂が終わると中禅寺湖が見えてきます。
ここまで来ると、きついカーブはありません。
ブレーキを開放し、気持よく下って行けます。
ログを見ると45キロまで出していたようです。

そうしているうちに日光市街地に入ります。
日光駅から霧降高原の方へ少し行くと、やっと今日の宿に到着です。
19時、到着。総走行距離163km、獲得標高3038m。
我ながらよく重い荷物と一緒に越えたものです(笑)

ビショビショの我々を見て、宿の方はすぐに風呂を沸かしてくれました。
しかも、濡れた服の洗濯・靴の乾燥までやってれて、本当に助かりました。
靴が濡れているのと乾いているのとでは、快適さが全然違いますもんね。オーナー様には感謝してもし足りません。

風呂に入り人心地着いたら、お腹が空いてきました。
日光の駅へ、徒歩で向かいます。
外に出ると、雨は止んでいました。
代わりに霧が出てて、全然前が見えませんでした(笑)

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日光は9時にもなるとほとんどの店が閉まっています。
その中でも何とか開いている店を見つけました。
あまり期待せずにステーキ丼を頼みました。

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これが以外なことに大当たりでした。
疲れた体に、濃い肉汁が染みる!
コショウのパンチが効いた味が美味しかったです。

店を出てもまだ霧は晴れていません。
宿にたどり着くと、もう9時近くになっていました。
濡れた雨具を干して、荷物整理して、読書したら寝よう。

今日の楽しかった一日を振り返りながらのんびりと作業です。
ふと隣を見ると・・・・

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完全に死んでる(笑)
あまりによく寝ているので、起こさずに寝かしておくことにしました。
もろもろの作業を終え、twitterに写真を上たら僕も睡眠へ。

これでこの旅のメインディッシュは終了。
明日は最終目的地である、会津のホテルへ向け移動するだけです。
今日を無事完走できたという満足感に浸りながら眠りに就きました。